あの服に似合うわたしは、今、ここにいます。
10代のころ、どんな服を着ていましたか?
20代のころ、どんな服を着ていましたか?
30代のいま、どんな服が好きですか?
思い返せば10代は個性的になりすぎないように、20代はわたしらしくを作るように、「好きな服」を選んで着ていた気がします。だけど、どれもこれも、買って数ヶ月もすれば「なんか違うなぁ」ってなる服たちが、クローゼットを肥やし始めました。
太ったクローゼットには、「なんか違うなぁ」ばかりが詰まってしまって、選ぶのも、着るのも楽しくありませんでした。わたしは、自分の「好き」をよく知らない人間だったのかもしれません。
大人になるにつれて、「好きな服」よりも「どんな服に似合う自分でいたいか」を考えるようになりました。
シンプルな形に、無地に、カラシ色に藍色、それから黒。
そんな服が似合う自分になりたいと思う自分に気が付きました。それでも、20代のうちにはまだまだ「似合いたい服」が似合いませんでした。30代になって、ようやくそんな服たちが、喜んで着られてくれるようになりました。
慌てなくても、似合うわたしになれる時は来るんですね。最近は、どんな生き方に似合うわたしになりたいのだろうと考えています。30代でそれを改めて考えるのは遅いのかもしれませんが、わたしの人生は、わたしだけでは成り立たないのです。
それは、たくさんの「その他の人生」によってわたしの人生が変わったり決まったりすることもある、ということです。「わたしの希望」どおりに人生は進みません。わたしはそんな、思い通りにいかない人生が、いま、この上なく愛おしく感じています。
誰かのせいで、なにかのせいで、上手くいかないことがあっても、いつか「似合いたい生き方」が寄り添うように、それまでは違和感のなかに生きたっていいのかもしれません。